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昨晩の夢の中で、私は生まれ育った家にいた。

広くて古い、畳ばかりの家。

私が嫁いだ後に建て替えたが、夢に出てくるのはいつも

今はもう無い幼い頃に暮らした家。


学校から帰ると、亡くなった祖母が茶の間に座って

お茶を飲んでいた。

時には近所のおばちゃんが来て、

母と楽しそうにお喋りしていた。

夕食は毎日6人家族が揃って、

ちゃぶ台を囲んで賑やかに食べた。

今よりも時間がゆっくり流れていて、

夜、私はのんびり本を読んでいた。

朝、二階の窓から庭を眺めれば、

木々の緑が鮮やかで、気持ちの良い風が吹いていた。

小さい頃は何も思わなかったのに、

今思い出せば懐かしさで胸がいっぱいになる。

そんな家に育つことができて幸せだったと思う。


今、ランチを食べているこの店の名前に、

住みかという文字が入っている。

店内は落ち着いたリビングのよう。

今日のランチは、昔、母や祖母が作ってくれたような

優しい味がする。

昔の家の夢を見た日に、ここに来たのは

偶然ではないのかもしれない。

ランチを食べながら、小学校に通う私の2人の子供達を思う。

彼らが大人になったら、思い出してくれるだろうか。

自分達が育った家と私が作った食事を。

それが幸せな思い出になるように、

私は心をこめて住みかを作っていこう。


私の大切な2人が、これから逞しく生きていけるように。

story by みもっち