高校時代の同級生と10年ぶりに会う約束をしたのは、
私のお気に入りの喫茶店。
彼女が昔と変わっていなければ、私と同じものに感激する
はずだから、この場所も喜んでくれるだろう。
果たして、少し遅れてきた彼女は、見た目もあまり変わらず、
第一声は「わ〜、感じのいいお店ねー」と高校時代と同じ笑顔。
コーヒーとケーキを注文して、懐かしい話に花が咲く。
10年のブランクはすぐ埋まった。
そのうち、恋愛の話になり、
「今、付き合っている人はいるの?」と聞いてみる。
お互いにまだ独身、もうすぐ30歳になるのだから、
一番気になる話だ。
一瞬黙って、「好きな人はいるの。でも片思い。」と彼女。
「そうなんだ」
「その人には彼女がいるんだ。だから片思い」
えっ、そんな事まで私と同じ。いや、同じじゃないか。
私の場合は思いを寄せている人がもう結婚しているんだもの。
でも、大切な人がいる人を好きになるせつなさは良くわかる。
私は…と言おうとして、思いがけない言葉が口をついて出た。
「ねぇ、そんなに辛い片思いよりも、一緒に新しい恋を探さない?
私は彼氏募集中なんだ。」
私は気持ちを切り替えるタイミングを待っていたのかもしれない。
彼女と一緒なら新しい出会いのために一歩踏み出せる気がした。
「そうだね。もっといい人がいるかもね。」
彼女はニッコリ笑ってくれた。
ほろ苦いコーヒーと甘いケーキも私達を応援してくれているみたい。さぁ、これからの計画を立てようね!
story by みもっち