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ようやく春らしくなってきた。

予定のない休日の午後3時、カウンターに座って、

ハーブティーを注文する。

「ちょっと疲れているので、気持ちが楽になるように

適当に調合してください。」

こうやって気分を変えるために、時々ここに来る。


こんなに誰かからの連絡を待っているのは何年ぶりだろう。

以前に待っていた時に、男と女の時間の流れの違いがわからず、

不安ばかりだった。

こちらは、1、2日連絡がないと、彼はどうしたんだろう?

私の事はもう好きじゃないのかと心配になる。

一方、彼の方は、しばらく放置しても

気持ちは変わらないと思っている。

そしていつの間にかすれ違うのだ。

 

今度誰かを好きになったら、

ちゃんと待てる女になろうと思っていた。

それなのに、たった一週間メールが来ないからといって、

不安になるなんて。

仕事が忙しいと言ってたじゃないの。出張もあるとか。

たぶん、後2、3日もすれば、「お疲れー、また会おうよ!」と

何事もなかったように明るいメールが届くはず。

私の気持ちの試練も知らずに…。

そして、私も、「元気だったー?いつ会う?」って、

明るい返事を送るのだ。何事もなかったように。

私が耐えれば、今回はすれ違わずにすむだろう。


「お待たせしました。今日はローズを基本に調合しました。」

優しいバラの香りのハーブティー。

久しぶりに恋に悩む乙女のような私の心がわかったのかしら。

このお茶をゆっくり飲んだら、家に帰って

ベランダの花に水をやり、掃除でもしよう。

彼のことは時の流れにまかせて…

story by みもっち